○岐南町の町長等、職員のハラスメント防止に関する条例

令和7年3月21日

条例第12号

ハラスメントは、個人としての尊厳や人格を傷つける重大な人権侵害であって、到底許されるものではない。また、職場におけるハラスメントは、心身の苦痛に耐えながら就労することを余儀なくされ、それは職員の能力を阻害し、同時に就業環境を悪化させることにもつながる。

地方公務員たる町職員は、町民全体の奉仕者、つまり住民サービスの担い手として職務を遂行しなければならない。こうした本来の職務を果たすため、職員が能力を発揮し得る空間であるはずの職場環境が害され、職員が能力を発揮し得ず、また成長を得る機会を奪われることは、住民サービスの低下を招き、町民の利益の損失につながりかねない。

町民の利益に資する組織を目指すため、すべての職員が、互いを尊重しながら対話を重ね、相互理解を深めることにより、一切のハラスメントを排除し、最大限にその能力を発揮することのできる職場環境を形成すること決意し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、ハラスメントの防止及び排除のための措置並びにハラスメントに起因する問題が生じた場合に適切に対応するための措置に関し、必要な事項を定めることにより、町長等、職員がハラスメントを理解し、人格を尊重し、快適に働くことができる良好な職場環境を確立することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) ハラスメント パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントその他の誹謗、中傷、風評その他の言動により相手方の人権又は人格権を侵害する、相手方を不快にさせるその他の相手方に不利益を与えるものをいう。

(2) 町長等 町長、副町長及び教育長をいう。

(3) 議員 町議会議員をいう。

(4) 職員 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職、同条第3項に規定する特別職の職員(町長等及び議員を除く。)及び同法第22条の2に規定する会計年度任用職員並びに契約による派遣職員等を含む、本町の業務に従事する全ての職員をいう。

(5) 所属長 岐南町行政組織規則(平成18年4月1日規則第8号)第6条及び第6条の2に規定する職員をいう。

(6) 職場 職員がその職務を遂行する場所をいう。ただし、出張先その他の職員が通常勤務をする場所以外の場所であっても、当該職員が職務を遂行する場所については、「職場」に含まれるものとする。

(7) ハラスメントに起因する問題 ハラスメントにより職員の勤務環境が害されること及びハラスメントへの対応に起因して職員がその勤務条件につき不利益を受けること。

(8) 相談員 ハラスメントに関する相談及び苦情を受け付ける者をいう。

(町長の責務)

第3条 町長は、職員がその能力を十分に発揮できる職場環境を確保するため、ハラスメントの防止及び排除並びに被害者への配慮に努めるとともに、ハラスメントに起因する問題が生じた場合は、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

(職員及び所属長の責務)

第4条 職員は、他の職員に対し、互いの人格を尊重し、職務遂行上の対等なパートナーであることを認識し、ハラスメントの防止に努めなければならない。

2 所属長は、良好な職場環境を確立するため、ハラスメントの防止に努めるとともに、ハラスメントに起因する問題が生じた場合においては、迅速かつ適切に対処するとともに、ハラスメントに係る調査等に協力しなければならない。

(相談等の申出等の手続)

第5条 職場におけるハラスメントを受けた又は目撃し、若しくは把握した職員は、人事担当課職員の相談員又は人事担当課が設置する相談員若しくは第7条に規定する第三者相談窓口に対し、ハラスメントの相談及び苦情を書面、口頭又はこれに準じた手段により申し出ること(以下「申出」という。)ができる。

2 申出は、現実にハラスメントが発生した場合に限らず、その発生のおそれがある場合にも行うことができる。

3 ハラスメントを受けた職員が心身の故障等により入院していることその他特別の事情により申し出ることができない場合は、当該職員の同僚、上司又は4親等以内の親族等で当該ハラスメントの事実関係を認識している者が申出をすることができる。

4 町長は、申出に対し、関係職員等への聴き取り等、事実確認等の調査を行い、適正に対処しなければならない。

5 前項の場合において、申出に係る事案の行為者が議員とされているときは、町長は、当該申出について議長に報告し、及び議会が行う調査に協力しなければならない。

6 町長は、議員が町長等又は職員からハラスメントを受けたとされる事案について、議長から処理の依頼があったときは、事実確認等の調査その他の必要な措置を行うものとし、当該事案に係る処理が完了したときは、その処理の内容等を議長に報告しなければならない。

7 申出に係る事案の行為者が町長とされている場合、この条例の規定による権限の行使は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第152条の規定に準じて副町長等がその職務を代理する。ただし、第9条に規定する岐南町ハラスメント対策委員会の設置に関しては、第7条に規定する弁護士がその職務を代理することができる。

(相談員)

第6条 町長は、前条に規定する人事担当課職員の相談員及び人事担当課が設置する相談員を、あらかじめ選任し、職員に対して周知を行うものとする。

2 町長は、前項の相談員について、年齢、性別等に著しい偏りが生じないよう努めなければならない。

(第三者相談窓口)

第7条 町長は、申出に対し、その円滑かつ公正な解決を図るため、第三者によるハラスメント相談窓口(以下「第三者相談窓口」という。)を置く。

2 町長は、第三者相談窓口の相談員を、ハラスメントに関して次の各号に定める専門的知識を有する者からあらかじめ選任し、職員に対して周知を行うものとする。

(1) 弁護士

(2) その他町長が必要と認める者(法人を含む。)

(相談又は苦情の処理)

第8条 前2条に規定する相談員は、次の業務を担当するものとする。

(1) 相談又は苦情(以下「相談等」という。)を受け付けること。

(2) 相談等があった案件について、事情の聴取をすること。

2 相談員は、相談等又は案件の内容、状況等から適切かつ効果的な対応をとり、第9条に規定する岐南町ハラスメント対策委員会で処理することが適当と判断したときは、町長に対し、その処理を依頼するものとする。

(岐南町ハラスメント対策委員会)

第9条 町長は、前条第2項に規定する依頼を受けたときは、ハラスメントに関する申出を調査審議し、公平な処理に当たるため、岐南町ハラスメント対策委員会(以下「委員会」という。)を速やかに設置するものとする。ただし、町長が諮問を必要と判断した場合は、この限りでない。

2 委員会は、次に掲げる事項を所掌する。

(1) ハラスメントに係る事実関係の調査に関すること。

(2) ハラスメントに係る対応に関すること。

(3) ハラスメントの防止に関すること。

(4) その他ハラスメントに関し、町長が必要と認める事項に関すること。

3 委員会は、町長が委嘱又は任命する次の各号に掲げる委員をもって組織する。

(1) 申出に係る行為者が町長等である場合 弁護士。ただし、当事者と利害関係にある者は除く。

(2) 申出に係る行為者が職員である場合 町職員。ただし、調査審議に当たり、臨時に弁護士の委員を別に置くことができる。

4 委員は、公平かつ公正にその職務を遂行しなければならない。

5 委員会は、速やかに調査審議にあたるものとする。

6 委員会は、必要に応じて、町長等、議員、職員その他申出に関係する者(以下この項において「関係者」という。)に対し、次に掲げる事項を求めることができる。この場合において、関係者は、その求めに応じなければならない。

(1) 申出に関する事項の聴取

(2) 書類、物その他の証拠の提出

7 委員会は、調査審議を終えたときは、その内容をまとめ、町長及び議長に報告するものとする。ただし、議長への報告は、申出に係る行為者が町長等である場合に限る。

8 委員会の庶務は、総務部において行う。

9 委員会の組織及び委員その他委員会に関し必要な事項については、町長が別に定める。

(対応措置)

第10条 町長は、事実関係の公正な調査によりハラスメントの事実が確認された場合は、次の各号の行為者に対し、当該各号に定める内容を行うことができる。

(1) 町長等 公表

(2) 職員 懲戒処分等

2 町長は、ハラスメントの事実が確認された場合は、内容を精査の上、必要に応じて警察等の関係機関に通報しなければならない。

(プライバシーの保護及び秘密の保持)

第11条 第三者相談窓口の相談員、委員会の委員その他申出に関する業務に携わる職員は、ハラスメントの当事者及び関係者のプライバシーに十分配慮し、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(不利益取扱いの禁止)

第12条 職員は、ハラスメントに対する抵抗等を行ったこと、相談等を申し出たこと、相談等に係る調査への協力その他正当な対応をしたことを理由に、いかなる不利益も受けない。

(申出件数の公表)

第13条 町長は、地方公務員法第58条の2第3項及び岐南町人事行政の運営等の状況の公表に関する条例(平成17年岐南町条例第10号)の規定による公表と併せて、ハラスメントに関する当該年度の前年度の申出の件数を公表するものとする。

(研修等)

第14条 町長は、ハラスメントの防止等を図るため、町長等及び職員に対し、必要な研修等を実施しなければならない。

(委任)

第15条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和7年4月1日から施行する。

(適用区分)

2 この条例の規定は、この条例の施行の日以後に発生したハラスメント事案について適用する。

(制度の検討)

3 町長は、この条例の制定後3年以内に、この条例の運用の実績等を勘案し、この条例の規定について見直しを行い、その結果に基づき必要な措置を講ずるものとする。

(岐南町非常勤の特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

4 岐南町非常勤の特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和37年岐南町条例第17号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

岐南町の町長等、職員のハラスメント防止に関する条例

令和7年3月21日 条例第12号

(令和7年4月1日施行)